断章~外資系で働く労働者の当然の権利!? sick leaveとは…(Hamachanブログ書込み) 

最近の「働き方改革」が唱える、労働時間法制や休暇法制のあり方に関していつも感じている「違和感」の一つがこれ~年次有給休暇。今回はそれと混同されがちなシックリーブ(傷病休暇)について。欧米との格差のみならず近隣アジア諸国とのギャップも感じるのです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-8b66.html

===(欧州労働政策Hamachanブログへの書き込み)===

久しぶりの投稿です…。

今、実務上でアジア各国(中国、香港、韓国、シンガポール)の労働法で認められている年休と傷病休暇(sick leave)の日数比較して見直しているのですが、こと休暇法制に限っては労働者に一番シビアなのは日本のようですね…。

意外にも解雇規制がゆるく英米法に一番近いシンガポールが一番手厚く、年休25日に加えて傷病休暇が年間14日(計39日)が与えられます。また香港でも年休付与とは別に(勤務半年後に80%支給の)法定傷病休暇が10日付与されます。(・・・なんともうらやましい話ですね)

実は日本でも外資系企業では年休に加えて有給の傷病休暇が与えられているのがごく一般的なのですが、それが日本の労基法では普通ではない(傷病休暇がサポートされてない)ということを知っている労働者は少数派です。あたかも就業規則で定められた有給傷病休暇は、外資系では労働者の当然の権利だとみなされているかのようです。

ちなみに以前及び現在私が勤めている外資系企業には、年休とは別に年間12日の有給傷病休暇(翌年繰越なし)があります。誰しも寒い冬には風邪やインフルエンザで数日会社を休むことは自然なことでしょう。そうした労働者に普通に起こりうることをしっかりサポートするのも労働法の基本的役割だと思うのですが…。

・・・その後、T氏とKohchan氏からの質問に以下のとおり答えました。

高橋さん、kohchanさん

外資系によくあるシックリーブ(有給傷病休暇)ですが、そうですね、付与日数は年間10〜14日あたり(一番多いのは12日)でしょうか。今の会社では制度導入初期は「月1日を限度に」という縛りが記載されていたようですが、現在は「年間12日」で運用しています。本人の病気や怪我だけでなく、家族の看護目的にも利用できます。運用にあたっては厳しくしたい場合は薬の領収書や医師診断書(何らかの証明)を取得1日目から提出して頂く運用もありえますし、少し緩い場合は連続して3日以上取得した場合に限って診断書等の証明書を提出して頂くといった運用となるでしょう。また、時効2年の法定年休と違ってシックリーブは自由裁量ですから、翌年への繰り越しを認めないケースが多いと思います。

以上、ご参考になれば幸いです。(PS そういえば、いまどき外資系では生理休暇というのは殆ど聞かないですね…。)

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今回のテーマ(休暇)に限らずおそらく僕のような外資系で働く日本人ビジネスマンができることは「あちらの世界」(外資系企業)において「常識」やあたり前とみなされていることであっても「こちらの世界」(日系企業・日本人)の間では必ずしもそうなってない事象をまず見極める、その上でその対象をしっかり観察・比較分析し、それがやはりここ日本でも合理的であてはまるべき「よいこと」であるのならばそれを日本企業が上手く適合できるよう問題提起し、妥当な解決策を提言&サポートしていくことにあるのでしょう。

ということで、今後もずっと「アウトサイダー」という視点を失わずに持ち続けたいですね。